高齢になると賃貸は借りにくい?何歳から審査が厳しくなるのか現役営業マンが解説

不動産営業の本音

この記事を書いた人: 現役不動産賃貸仲介営業マン|シニア世代のお部屋探しも、日常的にご案内しています。

結論:高齢でも賃貸は借りられます。ただし準備が要ります

先に、この記事の答えを書きます。

高齢者でも賃貸は借りられます。 そもそも賃貸借契約に、法律上の年齢制限はありません。

ただし、年齢が上がるほど、次の点には注意が必要です。

  • すべての物件に申し込めるわけではない
  • 家賃だけでなく、緊急連絡先などの準備が重要になる
  • 持ち家を売ってから探し始めると、苦戦することがある

特に持ち家を売却して住み替える場合は、「家を売れるか」だけでなく「次の賃貸を借りられるか」を早めに確認してください。

以下で、何歳から厳しくなるのか、なぜ断られるのか、どうすれば借りやすいのかを順に解説します。

この記事でわかること

  • 何歳から審査で年齢を確認されるようになるのか
  • オーナーが高齢の入居者に慎重になる理由
  • 審査の流れと、どの段階で止まっているのか
  • 準備しておくべき書類とサポート体制
  • 一般の賃貸が難しいときに使える公的な制度

高齢者が賃貸を借りにくくなるのは何歳から?

法律上の年齢制限はありません。 何歳でも契約自体は結べます。

ただし、実際に借りられるかどうかは、物件を所有する大家さんや管理会社の判断が大きく影響します。

目安としてよく挙げられるのは「70歳」

国土交通省の資料をもとにした分析では、家賃債務保証会社が「審査に通りやすい」と回答した割合は、70代から大きく下がるとされています。60代と比べると、その差は明確です。

ひとつの目安として「70歳」を意識しておくといいと思います。

現場の感覚では、70代半ばから確認事項が増えます

そのうえで、私が札幌でご案内している感覚では、70代半ばを超えると、年齢を理由に確認が必要になる物件が増える印象があります。

「74歳ならOK、76歳ならNG」というような、はっきりした基準があるわけではありません。確認事項が増えて、選べる物件が少しずつ絞られていくという感覚です。

だから「まだ借りられるうち」に動いてください

住み替えを考えているなら、元気なうちに、早めに動くことをおすすめします。

理由はシンプルで、一度入居してしまえば、よほどのことがない限り退去にはならないからです。

「まだ元気だから、もう少し先でいい」——その気持ちはよく分かります。でも、選べる物件の数は、時間とともに減っていきます。

なぜオーナーは慎重になるのか

理由は、大きく2つです。

①緊急時への不安

高齢者の入居に慎重になる理由のひとつとして、室内での孤独死や、緊急時への対応を心配するオーナーがいることは事実です。

万が一のことがあった場合、その後の入居募集に影響が出ます。オーナーからすると、そこを心配して判断が慎重になるわけです。

②収入面

年金収入のみの場合、現役世代と比べて収入額が下がるケースが多いため、支払い能力の確認が慎重になります。

冷たく感じるかもしれません。でも、この構造を知らないまま「なぜ断られるのか」と悩むより、知ったうえで対策を打つほうが前に進めます。

だからこそ「高齢だから無理」ではなく、緊急連絡先や家族との連携体制を事前に整えておくことが重要になります。

【現場の話】審査の流れと、断られるタイミング

ここが、あまり知られていない部分です。

賃貸の審査は、こういう流れで進みます。

申し込み → オーナー確認 → 保証会社審査 → オーナー審査 → 契約

高齢を理由にお断りとなる場合、保証会社の審査より前の段階で止まることが多いというのが、現場で見ている実感です。

「保証会社さえ通れば大丈夫」ではありません

私が現場で見ている限り、高齢の方の場合、保証会社の審査だけが問題になるとは限りません。

むしろ、保証会社の審査の前後で、管理会社やオーナーから、年齢・緊急連絡先・家族の支援体制などを確認されるケースがあります。

保証会社の基準は会社によって違いますが、「保証会社の審査に通ったから安心」とは限らないということです。

「高齢者歓迎」と書いていない物件は借りられない?

いいえ、必ずしも借りられないわけではありません。

募集の条件に「高齢者相談可」などが書かれていない物件でも、年齢や家族構成、緊急連絡先などを確認したうえで、個別に判断されるケースがあります。

逆に、最初から「高齢者不可」「70歳以上不可」と明記されている物件もあります。この場合は申し込みを入れるまでもなく対象外です。

気づかずに何件も内見して、後から分かる。 これが一番、時間と気力を消耗します。

※入居審査の全体像は、こちらで詳しく解説しています。
👉賃貸の入居審査に落ちる理由と通すコツ|現役営業マンが保証会社の裏側まで解説

審査に向けて、準備しておくこと

①緊急連絡先は必須

これは必ず必要になります。 できれば、近くに住むお子さん世帯など、すぐに動ける現役世代を用意してください。

さらに、物件によっては連帯保証人相続代理人を求められることがあります。「頼めるかどうか」を、事前に家族と話しておいてください。

審査の途中で慌てて相談すると、話がまとまる前に他の方に申し込まれてしまうこともあります。

②家族と一緒に住み替えを進める

可能であれば、お子さんなど家族と一緒に住み替えの相談を進めることをおすすめします。

内見に同行してもらうことで、緊急時の対応や連絡先について、事前に整理しやすくなります。 「何かあったときに誰が動くのか」が家族の中で決まっていれば、審査の場面でも話がスムーズです。

これは審査のテクニックというより、高齢での住み替えにおけるサポート体制づくりの話です。

③支払い能力を示す書類を用意する

審査で必要になるのは、この2つです。

  • 年金支給額がわかる書類(年金受給者の場合)
  • 貯蓄額がわかる書類のコピー(通帳、ネットバンキングの画面のスクリーンショットなど)

見られているのは、支払い能力の有無です。 収入が年金だけでも、貯蓄で補えることを示せれば、判断が変わることがあります。

申し込みの前に用意しておいてください。 「今から探します」となると、そのぶん審査が止まります。

④家賃を収入に見合った額に抑える

年金収入で家賃を払い続けられるか。ここは必ず見られます。

背伸びした家賃で申し込むと、審査で止まります。 そして通ったとしても、その後の生活が苦しくなります。住み替えは長く住むためのものなので、無理のない金額に設定してください。

借りられる物件かどうかは、聞かないと分かりません

「高齢者OKの物件を、自分で見分ける方法はありますか?」

よく聞かれますが、正直、借主側からは分かりません。 オーナーごとの判断だからです。

無駄足を踏まないための、確認のしかた

だから、先に聞いてください。

気になる物件が見つかったら、問い合わせの段階で、

  • 入居予定者の年齢
  • 概算の貯蓄額

この2つを伝えたうえで、「この条件で入居できそうか、確認してもらえますか」とお願いしてください。

仲介会社がオーナーや管理会社に確認してくれます。内見に行ってから断られるより、はるかに時間の無駄がありません。

遠慮する必要はまったくありません。 私たち側としても、確認してから案内したほうが、お互いに時間を無駄にせずに済みます。

一般の賃貸が難しいときの選択肢

条件を整えても厳しい場合、こういう選択肢があります。

住宅セーフティネット制度(セーフティネット住宅)

高齢者などの入居を拒まない住宅として、あらかじめ登録されている賃貸物件です。専用の検索サイトから探せます。

「高齢だから断られるのでは」という心配をせずに問い合わせできるのが利点です。

高齢者住宅財団の家賃債務保証

高齢者向けの家賃債務保証制度があります。連帯保証人を頼める親族がいない場合の選択肢になります。

UR賃貸住宅

礼金・仲介手数料・更新料・保証人が不要という特徴があります。高齢者向けの制度も用意されています。ただし、地域によって物件数に差があります。

終身建物賃貸借制度

60歳以上を対象に、亡くなるまで住み続けられる契約です。高齢を理由に入居を断られたり、退去を求められたりする心配がありません。

契約は借主が亡くなった時点で終了し、相続が発生しません。貸す側にもメリットがある仕組みなので、オーナー側の抵抗が少ないのが特徴です。

対象となる物件は限られますが、選択肢として知っておく価値はあります。

よくある質問

Q. 賃貸は何歳まで借りられますか?
A. 法律上の年齢制限はありません。ただし実際には大家さんや管理会社の判断によるため、年齢が上がるほど選べる物件は絞られていきます。

Q. 年金収入だけでも借りられますか?
A. 借りられます。ただし家賃とのバランスが見られます。年金支給額のわかる書類と、貯蓄額のわかる書類を用意しておくと判断がスムーズです。

Q. 保証人を頼める親族がいません。どうすればいいですか?
A. 家賃保証会社を利用するのが一般的です。それでも難しい場合は、高齢者住宅財団の家賃債務保証制度や、保証人不要のUR賃貸住宅を検討してください。

Q. 断られたら、その理由は教えてもらえますか?
A. 具体的な理由が伝えられないこともあります。年齢が影響していそうな場合は、次の物件を探す前に、仲介会社に条件を伝えて事前確認してもらうほうが確実です。

Q. 何歳から準備を始めるべきですか?
A. 明確な線はありませんが、選べる物件が多いうちに動くほうが有利です。持ち家の住み替えを考えているなら、売却の相談と同時に賃貸の見通しも立ててください。

まとめ

ポイント内容
借りられるか借りられます。法律上の年齢制限はありません
目安保証会社の統計では70歳。現場では70代半ばから確認が増える印象
断られる場所保証会社審査より前で止まることが多い
募集条件「高齢者不可」と最初から書かれている物件もある
準備するもの緊急連絡先、年金額の書類、貯蓄額の書類
大事なこと家族と一緒に、早めに動く
確認方法年齢と概算の貯蓄額を伝えて、仲介会社に確認してもらう
難しいときはセーフティネット住宅、UR、終身建物賃貸借など

「高齢者は借りられない」は、正確ではありません。 ただ、年齢が上がるほど選択肢が減っていくのは事実です。

だからこそ、元気なうちに動いてください。 準備するものを揃えて、家族と話をして、早めに確認する。それだけで、結果はかなり変わります。

そして——ひとりで抱え込まないでください。 家族と一緒に動くことが、この場面では一番強い準備になります。

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