この記事を書いた人: 現役不動産賃貸仲介営業マン|持ち家を手放して賃貸に移られるお客様を、毎年ご案内しています。
この記事でわかること
- 売却と賃貸探し、どちらを先に進めるべきか
- 住み替えのスケジュール(何か月前に何をするか)
- 戸建てから賃貸に移る方が実際に選んでいる部屋の条件
- 荷物・家具家電で一番苦労するポイント
- 高齢になると入居審査が通りにくくなる理由と、その対策
- 住み替えでかかるお金と、やりがちな4つの失敗

持ち家を手放して賃貸へ。増えている選択です
「子どもが独立して、この広さはもう必要ない」 「雪かきが、そろそろつらくなってきた」
一戸建てを売却して賃貸に移る理由は、だいたいこの2つに集約されます。北海道では、特に後者が多い。
除雪、屋根の雪下ろし、玄関前の氷。若いうちは当たり前にやっていたことが、ある年から急に負担になります。
……ただ、正直に言います。この住み替え、思っているより難しいです。
売却の話に気を取られて、「その後どこに住むか」の準備が後回しになる。そして荷物と間取りの現実にぶつかる。
売却の話は不動産会社が進めてくれます。でも、どんな部屋に住むか、荷物をどうするかは、自分で決めるしかありません。
この記事では、私が賃貸仲介の現場でご案内してきた中で見えてきたことを、進め方から順にまとめます。

戸建ての売却と賃貸探し、どっちを先にする?
一番よく聞かれるのがこれです。
答えは「売却の相談を先に、賃貸の情報収集は同時に」です。
理由はシンプルで、売却価格と引き渡し時期が見えないと、賃貸の予算も時期も決められないからです。
- 家がいくらで売れそうか
- いつ引き渡すことになりそうか
この2つが見えて初めて、「家賃はいくらまで出せるか」「いつ入居するか」が決まります。
ただし——賃貸を探し始めるのが遅すぎると、引き渡し日に間に合いません。 だから売却の相談と並行して、家賃相場と希望条件の整理だけは早めに始めてください。
物件を申し込むのは、売却の方向性が見えてからで大丈夫です。
住み替えのスケジュール
目安として、こういう流れになります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 住み替えを考えたら | 持ち家の売却相談・査定 |
| 売却相談と同時に | 賃貸の家賃相場・希望条件を整理 |
| 売却の方向性が決まったら | 賃貸物件を本格的に探す |
| 引き渡し時期が見えたら | 賃貸を申し込み・契約 |
| 契約後 | 不用品の処分・引っ越し準備 |
| 最後 | 引っ越し → 戸建ての引き渡し |
ポイントは、「新居が決まる前に全部捨てる」のではなく、持っていくものと手放すものを早めに分けておくことです。
新居が決まってから、家具・家電のサイズや収納量を確認し、最終的に処分するものを決めます。
契約直後が、処分を始めるベストタイミングです。
【夫婦での住み替え】選ばれやすい部屋の条件
私がご案内してきた中で、共通していた条件をまとめます。
間取りは2LDK〜3LDK。狭くする方が多い
一戸建てからの住み替えなので、今より狭くする方がほとんどです。 2LDKから3LDKあたりが中心になります。
「同じ広さを」と考えて探し始めても、家賃と条件のバランスで、結局このあたりに落ち着くケースが多いです。
1階か2階、もしくはエレベーター付き
この条件を挙げる方は、特に多いです。
階段の上り下りを減らしたい。荷物の出し入れがある。将来のことも考えたい。戸建てで階段がつらくなった方ほど、ここは譲りません。
エレベーターなしの3階以上は、この層にはまず選ばれません。

トランクルーム付きの希望が多い
ここが持ち家からの住み替えらしいポイントです。
北海道の戸建てには物置があるケースが多く、納戸や屋根裏もあります。賃貸には、戸建てほど大きな物置や納戸がない賃貸も多く、収納量が問題になります。
タイヤ、スキー、除雪道具、季節家電。捨てられないけれど、部屋には置きたくないものが、戸建てには大量にあります。
だから「トランクルーム付き」「物置付き」を条件に入れる方が多い。物件に付いていない場合は、外部のトランクルームを借りる方もいます。
駐車場付き。ただし「免許返納」で条件が変わります
車をお持ちなら駐車場付きは当然の条件です。
ただ——引っ越しと同時に免許を返納される方も、少なくありません。
その場合、条件が一気に変わります。駐車場より、地下鉄の駅近。
そして北海道では、冬の移動を考えると、駅・スーパー・病院までの距離が特に重要になります。 夏に「歩ける」と思った距離が、雪道では別物です。
「今は車があるけど、数年後はどうか」 ——ここを考えずに駐車場だけで選ぶと、返納した後に不便な場所に取り残されます。住み替えは何度もするものではないので、先を見て決めてください。
※札幌の地下鉄駅ごとの家賃相場は、こちらでまとめています。
👉 札幌・豊平区の賃貸、駅選びでガス代が変わります|都市ガス物件が多い地下鉄駅を現役営業マンが解説
👉札幌市白石区の賃貸、駅別の家賃相場と都市ガス事情|現役営業マンが8駅を解説
👉 札幌市北区の賃貸、駅別の家賃相場と都市ガス事情|現役営業マンが10駅を解説
【おひとりでの住み替え】選ばれやすい部屋の条件
配偶者との死別などをきっかけに、おひとりで移られる場合です。
間取りは1LDK〜1DK
条件の考え方は、ご夫婦の場合とほとんど同じです。1階か2階かエレベーター付き、収納、駅近。 間取りだけが一段小さくなります。
多いのは「お子さん世帯の近く」
このパターンで多いのが、お子さん家族の近くへの引っ越しです。
少し離れた場所を選ばれる方もいますが、お子さん側も心配されているケースが多い。 何かあったときにすぐ行ける距離かどうかが、物件選びの軸になります。
離れて暮らすなら、見守りの方法も考えておく
近くに移れない場合や、日中ひとりで過ごす時間が長い場合、見守りの手段を用意しておくご家族もいます。
見守りサービスにはいくつか種類があります。センサーで動きを検知するタイプ、緊急ボタンで通報するタイプ、スマホから家の様子を確認できるタイプなど。
毎日連絡するのは、する側もされる側も負担になります。「元気でやっているか」だけ分かればいいというご家族には、こうしたサービスの導入も選択肢のひとつです。
【意外な落とし穴】年齢で入居審査に落ちることがあります
売却の記事にはあまり書かれていませんが、賃貸側の人間として、これだけは先に伝えておきたいです。
高齢になると、賃貸の入居審査が通りにくくなることがあります。
理由は貸す側の事情です。室内で万が一のことがあった場合の対応、家賃の支払い能力、緊急時に連絡が取れるか。 大家さんや保証会社は、そこを見ています。
つまり——「家を売ったのに、次の部屋が決まらない」という事態が、理論上は起こり得ます。
だから、順番が大事なんです
これが、売却より先に賃貸の情報収集を始めるべき理由でもあります。
「自分の条件で借りられそうか」を早い段階で確認しておけば、慌てずに済みます。不動産会社に相談すれば、審査の見通しはある程度わかります。

通りやすくするためにできること
- 緊急連絡先を用意する(お子さん世帯など、近くに住む現役世代だと安心されます)
- お子さんを契約者にする(本人が入居者、子が契約者という形も取れます)
- 家賃を収入に見合った額に抑える(年金収入なら、なおさらここが見られます)
- 高齢者の受け入れに積極的な物件を選ぶ(物件によって方針が違います)
「年齢だけで全部断られる」わけではありません。 ただ、若い頃と同じ感覚で探すと、思ったより苦戦することがあります。
※入居審査の仕組みは、こちらで詳しく解説しています。
👉 賃貸の入居審査に落ちる理由と通すコツ|現役営業マンが保証会社の裏側まで解説
一番困るのは、荷物です
条件の話をしてきましたが、実際に一番苦労されるのはここです。
一戸建てには、想像以上にものがあります。そして賃貸に移ると、戸建てに比べて収納スペースが大きく減るケースが多いです。
家具家電のサイズダウン
大きな食器棚、タンス、ソファ、冷蔵庫。 「まだ使えるから持っていく」と考えていたものが、賃貸には入らない。
理由は搬入経路です。戸建ては玄関も廊下も広く作られていますが、賃貸は共用廊下もエレベーターも玄関ドアも、すべて狭くなります。
内見のときに、玄関ドア・共用廊下・エレベーター・室内の廊下の4ヶ所を測ってください。 メジャーを持っていくだけです。この5分が、当日の慌てを防ぎます。
「残す」「手放す」の判断基準
北海道の戸建てには、タイヤ・スキー・除雪道具・灯油ポリタンクなど、季節にしか使わないものが大量にあります。
判断に迷ったら、この表で考えてみてください。
| 方法 | 向いている人・もの |
|---|---|
| 処分する | 今後使わないと分かっているもの |
| 売却・買取に出す | まだ使える、価値があるもの |
| 子ども世帯に譲る | 保管先があり、相手が必要としているもの |
| トランクルームを借りる | 季節用品など、手放したくないもの |
「全部持っていく」と「全部捨てる」の間に、選択肢があります。
トランクルームは月額がかかるので、「毎月払ってでも残したいか」が判断基準になります。年に一度も使わないものなら、処分か買取のほうが合理的です。
処分方法は、先に決めておく
「入らない」と分かったものを、どうするか。
引っ越しの直前に慌てて処分すると、費用も手間もかさみます。 売る、譲る、廃棄する、引っ越しと同時に買い取ってもらう——選択肢はいくつかあります。
※処分方法の比較と選び方は、こちらで詳しく解説しています。
👉引っ越しの不用品処分、大型家具は「新居に入るか」から決めてください|現役営業マンが解説
戸建てから賃貸への住み替えにかかるお金
家賃だけを見て判断すると、あとで足りなくなります。住み替えでは、これだけの費用が発生します。
売却に関わるもの
- 仲介手数料(売買価格に応じた法定上限があります)
- 印紙税、抵当権の抹消費用など
- 場合によっては譲渡所得税
引っ越しに関わるもの
- 引っ越し費用
- 不用品の処分費用
- 家具家電の買い替え費用(サイズが合わないもの)
賃貸に関わるもの
- 初期費用(敷金・礼金・仲介手数料・前家賃など)
- 火災保険料、保証会社利用料
- 毎月の家賃・共益費・駐車場代
- トランクルーム代(借りる場合)
見落とされやすいのが、家具家電の買い替えです。 冷蔵庫と食器棚が入らないとなれば、それだけで数十万円が動きます。
「売った金額」から「これらを引いた残り」が、実際に手元に残るお金です。 売却査定を受けたら、その額をそのまま予算にせず、必ず差し引いて考えてください。
※賃貸の初期費用の内訳は、こちらで解説しています。
👉賃貸の初期費用、総額いくら?内訳と「本当に交渉できる部分」を現役営業マンが解説
住み替えでやりがちな4つの失敗
①戸建てと同じ感覚で家具を持っていく
前述の通りです。当日「入りません」となると、追加のう運搬や保管、処分費用が発生する可能性があります。 運送費を払ったうえに処分費もかかります。
②家賃だけで物件を決める
家賃を優先して駅から離れた物件を選び、買い物と通院が不便になる。 特に免許返納後は生活が一変します。北海道なら、冬道での移動を想像してから決めてください。
③売却後の住まいを考えるのが遅い
売却が先に決まってしまい、引き渡し日と賃貸の入居日が合わない。 仮住まいが必要になったり、慌てて部屋を決めることになります。
④「今の車」を基準に物件を選ぶ
数年後に免許を返納すると、駐車場付きの利点が消えます。そのとき駅やバス停が遠いと、生活が立ち行かなくなります。
【最重要】一括サイトは、同時に登録しないでください
ここが、この記事で一番伝えたいところです。
売却と引っ越しは、同時並行で進める方がほとんどです。それ自体は自然なことです。
問題は、その進め方です。
査定の一括サイトと、引っ越しの一括見積もりサイト。この2つに同時に登録してしまう方がいます。
そして——電話のやり取りに、かなり疲れてしまいます。
実際に、そうなってしまったお客様がいらっしゃいました。自分が予想している以上に、電話がかかってきます。 不動産会社からも、引っ越し業者からも。しかも住み替えの時期は、他の手続きも重なっています。
同時登録は、おすすめしません。
順番に進めてください
一括サイト自体が悪いわけではありません。複数社を比較できるのは大きなメリットです。
大事なのは、時期をずらすこと。
- まず売却の見通しを立てる
- 引き渡しの時期が見えてきたら、部屋を探す
- 引っ越し業者は、部屋が決まってから
同時に全部やろうとしないでください。 住み替えは、やることが多いぶん、一度に受け止める情報を減らすのがコツです。
まとめ
| 夫婦での住み替え | おひとりでの住み替え | |
|---|---|---|
| 間取り | 2LDK〜3LDK(狭くする) | 1LDK〜1DK |
| 階数 | 1〜2階、またはエレベーター付き | 同じ |
| 収納 | トランクルーム付きの希望が多い | 同じ |
| 立地 | 駐車場付き。免許返納を見据えるなら駅近 | お子さん世帯の近くが多い |
| 苦労する点 | 荷物の処分、家具家電のサイズダウン | 同じ |
一戸建てを売って賃貸に移るとき、「売ること」より「その後の暮らし」のほうが難しいと、現場では感じています。
売却の話は不動産会社が進めてくれます。でも、どんな部屋に住むか、荷物をどうするかは、自分で決めるしかありません。
だからこそ、部屋の条件だけは早めに考えておいてください。 1階か2階か、収納はどれだけ必要か、車は何年乗るのか。ここが決まっていれば、売却が進んだときに慌てずに動けます。
そして——一括サイトは、ひとつずつ。 これだけは守ってください。
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