退去予告は何ヶ月前?タイミングと二重家賃の正解を現役営業マンが解説

不動産営業の本音

この記事を書いた人: 現役不動産賃貸仲介営業マン|退去と住み替えの相談を日々受けています。


この記事でわかること

  • 退去予告はいつまでに・どうやって伝えるか
  • 二重家賃は「わざと作る」のが正解という話
  • 退去予告で家族が路頭に迷いかけた実話
  • 退去の書面・立ち会いでの注意点

はじめに:退去予告、順番とタイミングを間違えると痛い目に遭います

引っ越しが決まったら、今の物件の「退去予告(解約通知)」が必要です。「いつまでに言えばいいの?」と検索してこの記事にたどり着いた方、正解です。退去予告は、タイミングと順番を間違えると大きな損やトラブルにつながります。

現役の営業マンとして、ルールだけでなく「現場で見てきた失敗」も含めて、正直にお伝えします。


退去予告の基本:遅くても1ヶ月前までに

まず基本ルールです。遅くても1ヶ月前までに、管理会社に連絡しましょう。

正確な期限は、入居のときに交わした賃貸借契約書に必ず記載されています。 多くの場合「解約の1ヶ月前までに通告すること」といった文言です。

確認する場所: 契約書の裏面、「解約」について書かれている部分に記載されていることがほとんどです。物件によっては2ヶ月前予告のケースもあるので、引っ越しを考え始めたら、まず契約書を確認してください。


【重要】二重家賃は「わざと作る」のが正解です

住み替えの場合、多くの人が「旧居の退去日と新居の契約開始日をぴったり合わせれば、家賃の無駄がない」と考えます。

これ、実は間違いです。

なぜ「ぴったり」はダメなのか

現場の実務から言うと、住み替えでは7日〜10日ほどの二重家賃が発生するケースがほとんどです。そして、それでいいんです。

退去日=新居の契約開始日にしてしまうと、その1日に——

  • 旧居の退去立ち会い
  • ガス会社の閉栓立ち会い(旧居)
  • ガス会社の開栓立ち会い(新居)——開栓は立ち会いが必須です
  • 家具家電の引っ越し作業

……これらすべてを詰め込むことになります。これを1日でこなすことは、ほぼ不可能です。

特にガスは、閉栓と開栓で旧居・新居の両方の立ち会いが発生します。開栓の立ち会いをしないと新居でお湯も出ない・お風呂にも入れないので、絶対に外せません。物理的に体はひとつ。同日に旧居と新居を行き来しながら、引っ越し作業まで回すのは無理があります。

正しい設定のイメージ

新居の契約開始日 = 9月1日
旧居の退去日   = 9月10日

このように、わざと10日ほど被せるのが正解です。余裕を持って引っ越し・掃除・立ち会いを済ませられます。

「損する!」と思った方へ:フリーレント交渉

「10日分も二重に家賃を払うの?」と思いますよね。そこで、新居の契約前に仲介業者へこう相談してください。

「1日から10日分をフリーレントにして、残りを日割り計算にしてもらえないでしょうか。」

実はこの交渉、仲介手数料の値引き交渉よりはるかに通りやすいです。オーナー側も「その分早く契約が決まる」メリットがあり、双方が得をする交渉だからです。

もし通らなかった場合、現住所の管理会社(旧居側)に退去日の相談をする手もありますが、正直、聞いてもらえないことがほとんどです。だからこそ、新居側でのフリーレント交渉を、仲介手数料の交渉より先に行ってください。

※初期費用の交渉全般については、こちらで詳しく解説しています。
👉 賃貸の初期費用、総額いくら?内訳と交渉のコツ


【実話】退去予告が早すぎて、家族が路頭に迷いかけた話

「予告は早ければ早いほどいい」と思っていませんか?実は、早すぎる退去予告には大きな落とし穴があります。

以前、私のもとにこんなお客様が来られました。

「退去予告をしてしまったので、来月末には今の家を出ないといけない。でも、まだ住む部屋が決まっていない。」

このお客様は戸建て賃貸をご希望だったため、物件探しは通常より難航しました。幸い、期限までに住まいが決まり事なきを得ましたが——一歩間違えば、家族全員が路頭に迷うところでした。

退去予告は「審査が通ってから」

この失敗から学んでほしいことは、ひとつです。

住み替えの場合は、必ず「次に住む家が決まって、保証会社審査とオーナー審査の両方が通ってから」退去予告をしてください。

注意してほしいのは、「申し込みをしたからOK」ではないことです。申し込み後に審査で落ちる可能性は普通にあります。審査が通る前に退去予告をしてしまうと、「出る日は決まっているのに、入る家がない」という最悪の状況になりかねません。絶対にやめてください。

※審査の仕組みはこちらで詳しく解説しています。
👉 賃貸の入居審査に落ちる理由と通すコツ


退去予告のやり方:電話→書面の流れ

まず電話で連絡

入居者側は、まず管理会社へ電話で退去の意思を伝えましょう。

送られてきた書面は、よく読んでから署名

電話の後、退去届などの書面が送られてくることがあります。 内容をよく読んだうえで、署名・捺印をして送り返します。

ここで重要なのが——自分に不利になる文言が書かれていないか、必ずチェックしてから署名すること。 例えば、根拠のない修繕費の負担に同意させるような内容が紛れていないか、目を通してください。


退去立ち会いと「その場での請求」への対処法

立ち会いは「しない方向」で

退去立ち会いを迫られるケースがありますが、立ち会いをしなくても、基本的に退去はできます。 以前の記事でも書いた通り、立ち会いの場ではその場でのサインを求められがちなので、できるだけしない方向で進めるのがおすすめです。

「その場で現金請求」は、あり得ません

悪質なケースでは、立ち会いの場で退去費用を現金で請求されることがあります。

きっぱり断ってください。理由は明確です。

退去後の清掃費や修繕費を決めるのは、管理会社ではなく、内装業者や清掃業者です。 その業者がまだ部屋を見てもいないのに、費用が確定して、その場で請求される——そんなことは、あり得ません。

「業者の見積もりが出てから、書面でお願いします」と伝えれば大丈夫です。

トラブルになりそうなら、公的機関へ

もし不当な請求などでトラブルになりそうな場合は、国民生活センターなどの公的機関へ必ず相談してください。 消費者ホットライン(188)でも対応してもらえます。一人で抱え込まず、第三者を頼りましょう。

※退去費用で払わなくていい項目は、こちらにまとめています。
👉 絶対に損しない!退去費用の抑え方


まとめ:退去予告の正しい手順

手順内容
①契約書を確認裏面の「解約」欄。1ヶ月前予告が一般的
②新居の審査を通す保証会社+オーナー審査の両方が通ってから次へ
③フリーレント交渉新居側で「被り期間分」を交渉(仲介手数料より通る)
④退去予告電話→書面。不利な文言がないか確認して署名
⑤退去日の設定新居開始日と7〜10日わざと被せる
⑥立ち会い・請求立ち会いは極力しない。その場の現金請求は断る

退去予告は「早い者勝ち」ではなく、「順番を守った人が得をする」手続きです。

審査が通ってから予告する。二重家賃は恐れず、フリーレントで交渉する。書面はよく読んでから署名する。この3つを守れば、住み替えで損もトラブルもなく、次の生活に進めます。

住み替えの引っ越し費用も、複数社の比較で大きく変わります。準備が整ったら忘れずに。


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