この記事を書いた人: 現役不動産賃貸仲介営業マン|繁忙期と閑散期、両方の現場に立っています。
この記事でわかること
- 賃貸の閑散期・繁忙期はいつか
- 引っ越しが安い時期に交渉が通りやすい理由
- 礼金ゼロやフリーレントは、どこからお金が出ているのか
- 繁忙期に交渉が通らない、身も蓋もない理由
- 交渉を切り出すベストなタイミングと、その一言

部屋探しは「何月にするか」で条件が変わります
同じ物件でも、申し込む時期によって出てくる条件が違います。
家賃を下げてもらえるか、フリーレントが付くか、礼金がゼロになるか——これは物件の良し悪しだけでなく、「今が何月か」に大きく左右されます。
……現役の営業マンとして、正直に言います。交渉が通りやすいのは、8月から12月です。
そして1〜3月の繁忙期は、交渉はほぼ通りません。期待しないほうがいいです。
この記事では、なぜそうなるのかを、大家さん側と仲介会社側の事情まで含めて解説します。
賃貸の閑散期はいつか
不動産の繁忙期は1〜3月です。進学、就職、転勤が集中するので、この時期に部屋探しをする人が最も多くなります。
逆に言えば、それ以外の時期は閑散期。 特に8月から12月は、動く人が少なくなります。
そして——この時期こそ、条件を引き出しやすいタイミングです。

ただし、9月・10月は少し動きが増えます
閑散期とはいえ、9月から10月にかけては転勤による引っ越し需要があります。 秋の人事異動に合わせて動く人がいるためです。
1〜3月ほどではありませんが、この2ヶ月は他の閑散期の月より競争が発生しやすいと思っておいてください。
とはいえ繁忙期とは比較になりません。交渉の余地は十分にあります。 ただ「閑散期だから絶対に急がなくていい」と油断していると、気に入った物件を逃すことはあります。
閑散期に交渉が通る理由:大家さんの「30万円問題」
なぜ閑散期は交渉が通るのか。理由はとてもシンプルです。
この時期に入居者が決まらないと、次の繁忙期(1〜3月)まで空室が続く可能性が高いからです。
計算してみてください。家賃5万円の部屋が半年空けば、単純計算で30万円の家賃収入を失います。
もちろん、すべての大家さんが「30万円失うくらいなら5万円譲る」と考えるわけではありません。物件の状況も、大家さんの考え方もそれぞれです。
ただ、空室期間が長くなるほど、「多少条件を譲ってでも今決めたい」という判断が出やすくなるのは事実です。
だからこの時期は、フリーレント1ヶ月や、初期費用を抑えるキャンペーンが増えます。
8〜12月に引っ越す人は、交渉してみてください。 通る可能性が、他の時期とはまったく違います。

【裏側】礼金ゼロは、どこからお金が出ているのか
「礼金ゼロにしてもらえた」という話を聞いたことがあると思います。あれ、どこからお金が出ているか知っていますか。
もちろん大家さんが礼金を放棄しているケースもあります。ただ、それだけではありません。
礼金が設定されている物件でも、仲介会社が「この契約が欲しい」と考えたときに、自分たちが受け取る広告料を削って礼金ゼロにすることがあります。
広告料とは、大家さんから仲介会社に支払われる報酬のことです。その1ヶ月分を削って、お客様の初期費用を抑える。そういう調整が、現場では行われることがあります。
つまり——礼金ゼロが、必ずしも大家さんの持ち出しとは限らないということです。
これを知っていると、店によって礼金ゼロへの温度差があることにも説明がつきます。削るのは自分たちの報酬なので、どこまでやるかは会社や担当者の判断次第だからです。
※広告料の仕組みについては、こちらでも解説しています。
👉 【保存版】賃貸の専門用語集|現役不動産営業マンが裏話つきで解説
じゃあ、どの物件なら交渉できるのか
ここまで読んで、「で、どの物件で交渉すればいいの?」と思ったはずです。
正直に答えます。SUUMOやHOME’Sを見ても、お客様側にはわかりません。
募集がいつから出ているのか、大家さんが今どういう状況なのか、広告料がいくら乗っているのか——交渉の余地を左右する情報は、掲載ページには載っていないからです。 ここを「築年数が古ければ狙い目」のように単純化して書くこともできますが、実際はそんなにきれいには決まりません。
だから、そこは気にせず部屋を探してください
これが一番言いたいことです。
「交渉できそうな物件はどれか」を基準に部屋探しをしないでください。 判断材料がない以上、考えるだけ時間の無駄になりますし、そもそも部屋探しは「安く借りること」より「気に入った部屋に住むこと」が目的のはずです。
いい部屋を探す。それだけに集中してください。

聞くのは、入居したい物件が決まった後で
そのうえで、「ここに住みたい」という物件が決まったら、最後にこう聞いてみるのは一つの手です。
「この物件、フリーレントや礼金など、交渉で少しでも安くなりますか?」
タイミングは、申し込みをする前です。申し込んだ後だと話が進んでしまうので、動かしづらくなります。
ポイントは、具体的に何を下げてほしいか言うこと。 漠然と「安くなりませんか」だと、営業マン側も答えようがありません。フリーレント、礼金、初期費用——このあたりを並べて聞くと、その物件で動かせるものがあれば教えてもらえます。
そして通らなくても、失うものは何もありません。 聞いたせいで物件を紹介してもらえなくなる、なんてことは起きません。ダメ元で、最後にひとこと。それだけで十分です。
繁忙期に交渉が通らない、身も蓋もない理由
一方、1〜3月はどうか。正直に言うと、交渉はほぼ通りません。
理由は2つあります。
①断っても、次のお客さんが来るから
繁忙期は、そもそも部屋を探している人の数が違います。交渉を断っても、次の人がすぐ来る。 だったら、わざわざ条件を下げる理由がありません。
②交渉している間に、他の人が決めてしまうから
これが大きいです。交渉のやり取りをしている数時間、数日の間に、別のお客さんが申し込みを入れてしまうことが普通に起きます。
だから繁忙期は、そもそも「交渉不可」と設定されている物件が増えます。
大家さん側の本音を、身も蓋もなく言えばこうです。交渉をせず、すぐ契約してくれる人を優先的に入居させたい。
繁忙期は、交渉に期待しないでください。 むしろスピード感を持って動くほうが、いい部屋に入れます。
【重要】「まず申し込みを」は、営業マンのための言葉ではありません
ここは誤解されやすいので、はっきり書いておきます。
内見に行くと、営業マンから「気に入ったなら、まず申し込みましょう」と言われることがあります。急かされているように感じて、鬱陶しく思う人もいると思います。
でも、これには理由があります。
内見に出発する前は募集中だった物件が、内見から帰ってきたら他のお客様の申し込みが入っている。 これ、珍しいことではありません。数十分の話です。
今はFAXでの申し込みではなく、Web申し込みの物件がほとんどです。 だから誰でも、どこからでも、簡単に申し込めます。スピードが上がった分、こうしたことが起きやすくなりました。
こういう状況になって、一番困るのは誰か。仲介会社ではありません。お客様です。 気に入った物件に入居できなくなってしまうのですから。
「まず申し込みましょう」は、私たちのためではなく、お客様のための言葉です。 そのスピード感を知っているからこそ出てくる言葉なので、鬱陶しく思うかもしれませんが、聞いておいたほうがいいと思います。
なお、この状況は閑散期でも起こります。繁忙期のほうが多いというだけです。
閑散期のデメリットも正直に書きます
いいことばかり書いても仕方ないので、デメリットも書きます。
閑散期は、退去する人も少ないです。 つまり、申し込める物件の数自体が、繁忙期に比べて少なくなります。
「選択肢が多いほうがいい」という人にとっては、ここはマイナスです。
でも、繁忙期には別の問題があります
物件数が多い繁忙期には、こういう場面が増えます。
写真と物件情報を見て気に入った。でも、まだ退去前の「空き予定」物件なので、内見ができない。それでも申し込まないと、他の人に取られてしまう。
つまり——部屋の中を見ないまま、申し込みを判断することになります。
繁忙期はこのパターンが本当に多いです。物件数は多いのに、実物を見て決められない。
閑散期は「見て、納得して、決められる」
一方、閑散期はすでに空室になっている良い物件があります。 だから内見して、実際の部屋を見て、納得したうえで申し込める。
これが、交渉が通ることと並ぶ、閑散期のもうひとつのメリットです。
数は少ないけれど、ちゃんと確かめて決められる。私は、こちらのほうが失敗が少ないと思っています。
よくある質問
Q. 引っ越しが一番安い時期はいつですか?
A. 8月から12月の閑散期です。フリーレントや礼金ゼロなど、初期費用を抑えるキャンペーンが増えます。ただし9月・10月は転勤需要があるため、他の閑散期の月より動きが増えます。
Q. 賃貸の繁忙期はいつですか?
A. 1月から3月です。進学・就職・転勤が集中するため、部屋を探す人が最も多くなります。この時期は交渉がほぼ通りません。
Q. 家賃の交渉はいつ切り出せばいいですか?
A. 入居したい物件が決まった後、申し込みをする前です。申し込んだ後だと話が進んでしまうため、動かしづらくなります。
Q. フリーレントとは何ですか?
A. 入居後の一定期間、家賃が無料になる契約のことです。閑散期は1ヶ月分のフリーレントが付く物件が増えます。
Q. 礼金ゼロはなぜ実現できるのですか?
A. 大家さんが礼金を放棄するケースのほか、仲介会社が自社に入る広告料を削って初期費用を抑えるケースもあります。必ずしも大家さんの持ち出しとは限りません。
Q. 閑散期にデメリットはありますか?
A. 退去する人が少ないため、申し込める物件の数自体が繁忙期より少なくなります。ただし空室の物件が多いので、内見して納得したうえで決められるという利点があります。
まとめ:8〜12月に引っ越すメリットは2つ
| 時期 | 交渉 | 物件数 | 内見 |
|---|---|---|---|
| 8〜12月(閑散期) | 通りやすい。フリーレント・礼金ゼロも | 少なめ | 空室が多く、見てから決められる |
| 1〜3月(繁忙期) | ほぼ通らない。交渉不可の物件も増える | 多い | 空き予定で内見できないことが多い |
8月から12月に引っ越すメリットは、この2つです。
- 交渉が通りやすい(フリーレント1ヶ月、礼金ゼロ、初期費用のキャンペーン)
- 内見して、納得して申し込める
引っ越しの時期を自分で選べるなら、この期間を狙わない手はありません。
逆に、1〜3月に動くしかない人は、交渉に時間を使うより、スピードを優先してください。 いい部屋は、迷っている間に消えます。
そして時期に関係なく、交渉できそうな物件を探すのではなく、いい部屋を探してください。 住みたい物件が決まったら、最後にひとこと聞いてみる。それで十分です。
※初期費用の交渉については、こちらで詳しく解説しています。
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