この記事を書いた人: 現役不動産賃貸仲介営業マン|お客様に後悔してほしくない一心で、業界の裏側を発信しています。
この記事でわかること
- TikTokで紹介される物件の「本当の正体」
- なぜ良い物件は動画にならないのか
- お客様が一番嫌がる業界の手口
- TikTokを賢く使って失敗しない方法
はじめに:TikTokの物件動画、鵜呑みにしていませんか?
最近、TikTokで「こんな良い物件があります!」という動画をよく見かけますよね。おしゃれな内装、駅近、好立地……思わず「住みたい!」と問い合わせたくなる気持ち、わかります。
でも、現役の不動産営業マンとして正直に言わせてください。TikTokで派手に紹介されている物件のほとんどは、何かしらの”事情”を抱えています。
この記事は、テクニックを教えるだけの記事ではありません。「お客様にこういう目に遭ってほしくない」——その一心で、業界の裏側を包み隠さずお伝えします。
TikTokで紹介される物件の「本当の正体」
私の経験から言うと、TikTokで大きく紹介される物件は、だいたい次の4つのパターンに当てはまります。
パターン①:人気がなくて残っている物件
賃料が相場より高い、北向きで日当たりが悪い、1階で防犯やプライバシーが気になる……。何かしら理由があって決まらずに残っている物件です。だからこそ、動画にしてでもアピールする必要があるんです。
パターン②:すでに申し込みが入っている「おとり物件」
動画はネット上に残っているけれど、実際にはもう申し込みが入っていて住めない物件です。「あの物件まだありますか?」と問い合わせると、「ちょうど決まってしまって…」と言われ、別の部屋を勧められる。これがいわゆる「おとり物件」です。
パターン③:新築物件
新築は内装がきれいで、まだ誰も住んでいないので動画素材が撮りやすいんです。さらに、広告料を高く設定して紹介を促しやすいという事情もあります。新築自体は悪くありませんが、「動画映えするから推されている」という側面は知っておいてください。
パターン④:広告料が高い物件
ここが一番知ってほしいポイントです。後で詳しく説明しますが、広告料が高く設定されている物件は、業者側が積極的に紹介したがります。そして、広告料が高い物件には、ある”からくり”が隠れています。
なぜ本当に良い物件は動画にならないのか
ここで考えてみてください。本当に条件の良い物件は、わざわざ動画を撮って宣伝する必要があるでしょうか?
答えはノーです。
人気の物件は、退去予告が出た段階で、次の申し込みがあっさり入ります。 まだ前の入居者が住んでいるうちに、次が決まってしまうことも珍しくありません。
つまり、動画を撮って、編集して、TikTokに投稿して……なんてやっている時間はないんです。 その前に決まってしまうからです。
逆に言えば——手間をかけて動画で宣伝しないと決まらない物件だからこそ、TikTokに登場している。そう考えると、見え方が変わってきませんか?
【本題】お客様が一番嫌がる、2つの手口
ここからが、私が一番伝えたいことです。
物件探しをする中で、お客様が一番嫌がること。それは、不誠実な営業をされることです。具体的には、この2つの手口に気をつけてほしいんです。
手口①:メリットしか伝えないで契約を取る
北向きであること、近くに騒音源があること、周辺環境に不便があること——こうしたデメリットを一切伝えず、良いところだけを並べて契約させる。
契約してから「こんなはずじゃなかった」と気づいても、もう遅い。賃貸契約は簡単には解約できません。
私はこういう営業を見るたびに、悔しい気持ちになります。お客様は何年もそこに住むんです。デメリットも正直に伝えた上で、納得して選んでもらうべきなのに。
手口②:おとり物件で集客して、別の部屋を勧める
申し込めない好条件の物件で「こんな良い物件ありますよ」と客を呼び込み、いざ問い合わせると「決まっちゃって…」と言って、用意していた別の部屋へ誘導する。
最初から、その「良い物件」で契約させる気はないんです。あくまで集客のためのエサ。来店させてから、本命の(業者が決めたい)物件を勧める。これが「おとり物件」の手口です。
こういう目に、あなたには遭ってほしくないんです。
全員がそうだとは言いません。誠実に仕事をしている営業マンもたくさんいます。でも、こういう手口を平気で使う人が業界に一定数いるのも、残念ながら事実です。だからこそ、お客様自身が「知っておく」ことが一番の防御になります。
「仲介手数料無料」のからくりにも注意
パターン④で触れた「広告料が高い物件」について、もう少し踏み込みます。
「仲介手数料無料!」という広告、魅力的に見えますよね。でも、なぜ無料にできるのかを考えたことはありますか?
実は、仲介手数料を無料にできる物件は、その分「広告料」が高く設定されていることが多いんです。大家さんが「早く決めてほしい」と多くの広告料を出している。だから業者は仲介手数料を取らなくても利益が出る。
そして、ここが重要です。なぜ大家さんは高い広告料を払ってまで決めたいのか? ——普通にしていたら決まりにくい物件だから、という可能性があるんです。
つまり、「仲介手数料無料」という言葉の裏には、「お客様目線では実はあまり良くない物件」が隠れているケースがあります。
この「仲介手数料無料」のからくりについては、別の記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひ読んでみてください。
それでも、TikTokは使い方次第
ここまで読むと「TikTokは全部ダメなの?」と思うかもしれませんが、そうではありません。使い方次第で、TikTokは物件探しの役に立ちます。
TikTokの賢い使い方:
- 相場感をつかむ: いろんな物件を見ることで、エリアごとの家賃相場がなんとなくわかる
- 好みを把握する: 「こういう内装が好き」「この間取りいいな」と、自分の好みを知るきっかけになる
- 情報収集のきっかけに: 物件探しの第一歩、アイデア集めとしては優秀
大事なのは、TikTokの動画だけで決めないこと。 あくまできっかけとして使い、最終的には信頼できる不動産屋で、実際に内見して、デメリットも確認した上で決める。これが鉄則です。
まとめ:賢く、後悔しない物件選びを
| TikTok物件の正体 | 内容 |
|---|---|
| ①残り物 | 賃料が高い・北向き・1階など訳あり |
| ②おとり物件 | すでに申し込み済み。別物件への誘導用 |
| ③新築 | 動画映えする・広告料が高い |
| ④広告料が高い物件 | 「仲介手数料無料」の裏に訳ありの可能性 |
- 本当に良い物件は、動画になる前に決まってしまう
- 「メリットしか言わない営業」「おとり物件」には要注意
- 「仲介手数料無料」のからくりも知っておく
- TikTokは相場感・好みの把握に使い、決めるのは内見してから
物件選びは、何年も続く生活の土台です。派手な動画や甘い言葉に流されず、デメリットも含めて納得した上で選んでください。それが、後悔しない物件選びの一番の近道です。
そして、物件が決まったら次は引っ越しの準備。引っ越し費用も、1社の言い値ではなく複数社を比較することで賢く抑えられます。
この記事が役に立ったら、これから引っ越しを考えているお友達にもシェアしてください。あなたの大切な人が、不誠実な営業の被害に遭わないように。

