この記事でわかること
- 「水抜き」が何をする作業で、なぜ北海道で必要なのか
- 水抜きをするべき気温と時期の目安(札幌市水道局の基準)
- 札幌の賃貸によくある水抜き栓の場所3パターン
- 水抜きのやり方と、「やったつもり」で失敗するパターン
- 忘れて破裂したときに、費用と保険が実際どうなるのか
- 入居前に不動産会社へ聞いておくべき4つのこと
札幌の「水抜き」は、誰も教えてくれません
北海道に引っ越してきた方に、まずお伝えしたいことがあります。
水抜きのやり方は、基本的に誰も教えてくれません。
これは、私が現役の賃貸仲介営業マンとして接客していて、いつも気になっている点です。
- 仲介会社は、聞かれなければ説明しないことが多い
- 管理会社も、聞かれなければ説明しないことが多い
- 稀に、ガスの開栓に来た方が教えてくれることがある

つまり、自分から聞かない限り、教わらないまま冬を迎えることになります。
道内で育った方にとっては「知っていて当たり前」の作業なので、わざわざ説明する対象になっていない、というのが実情だと思います。
でも、道外から来た方にとっては、まったく当たり前ではありません。
そして知らないまま冬を越そうとすると、水道管が破裂します。
水抜きとは?水道管の中の水を抜いて凍結を防ぐ作業
水抜きとは、水道管の中に残っている水を抜いてしまう作業のことです。
仕組みはシンプルです。
水は凍ると体積が増えます。水道管の中に水が残ったまま凍ると、管が内側から押し広げられて割れてしまいます。
そして、割れたことに気づくのは、凍結が解けて水が噴き出したときです。
だから、そもそも管の中に水を残さない。これが水抜きです。
北海道の住宅では、水抜きができるよう給水設備が設けられていることが一般的です。ただし、設備の種類や操作方法は物件によって異なります。
水抜きはいつやる?気温と時期の目安
札幌市水道局は、凍結のおそれがある条件として「外気温がマイナス4℃以下になるとき」を挙げています。また、凍結事故は12月から2月にかけて多発すると案内されています。
「○時間留守にしたら必ず」といった明確な線引きがあるわけではなく、気温と、水道を長時間使わないかどうかで判断することになります。
目安を整理すると、こうなります。
| 場面 | 目安 |
|---|---|
| 外気温マイナス4℃以下 | 水抜きを検討 |
| 真冬日(一日中氷点下)が続く | 水抜きを推奨 |
| 就寝時など、長時間水道を使わない | 冷え込み次第で水抜き |
| 冬に旅行・帰省で家を空ける | 水抜きを強く推奨 |
| 暖房を止めて長時間留守にする | 特に注意 |
ポイントは、気温だけでなく「暖房を切るかどうか」です。
室内が暖まっていれば凍りにくいのですが、暖房を止めて出かけると、部屋の温度は一気に外気に近づきます。
年末年始や冬休みに実家へ帰省する。この期間が、一番事故が起きやすいタイミングです。
札幌の賃貸によくある水抜き栓の場所3パターン
物件によって位置は違いますが、私が扱っている物件では、だいたいこの3パターンに当てはまります。
① 電動水抜きのスイッチ
壁にスイッチやボタンが付いていて、押すと自動で水が抜けるタイプです。
洗面所や玄関付近、キッチンの近くなどに設置されていることが多いです。「水抜き」「通水」と書かれたスイッチやランプが目印になります。
② トイレ
トイレの中、または便器の裏側あたりに水抜き栓があるケースです。
ここが一番の落とし穴です。後述しますが、私が現場で特に注意してほしいと感じている場所です。

③ 部屋の外
玄関の外、共用廊下、メーターボックスの中など、室内ではない場所にあるパターンです。
「部屋の中を探したけれど見つからない」という場合は、外を確認してみてください。
電動と手動、どちらが多い?
電動スイッチが付いている物件もありますが、私が普段扱っている札幌の賃貸では、手動タイプを見ることが多いです。
手動の場合は、ハンドルやレバーを回す、あるいはつまみを引くといった操作になります。
水抜きのやり方|手動・電動それぞれの手順
⚠️ 必ずお読みください 以下は一般的な流れです。給湯器・トイレ・洗濯機などは、設備によって別の操作が必要になる場合があります。 必ず管理会社、または設備の取扱説明書で、自室の手順を確認してください。
手動タイプの場合
- 水抜き栓のハンドル・レバーを操作して「水抜き」の状態にする
- 蛇口を開ける(キッチン、洗面所、浴室、トイレ、洗濯機の水栓など)
- 水が出きって、完全に止まるまで待つ
- 水が止まったら、蛇口を閉める
電動タイプの場合
- 「水抜き」のスイッチを押す
- 蛇口を開ける
- 水が出きるまで待つ
- 蛇口を閉める
戻すとき(通水)の手順
- 先に蛇口を全部閉める
- 水抜き栓を「通水」の状態に戻す
- ゆっくり蛇口を開けて、水が出ることを確認する
蛇口を開けたまま通水すると、水が噴き出すことがあります。戻すときは蛇口を閉めてからです。
一番大事なこと 水抜き栓を操作しただけでは、管の中の水は抜けません。 蛇口を開けて、空気を入れてはじめて水が落ちていきます。 「スイッチを押したから大丈夫」は、一番危ない勘違いです。
「水抜きしたつもり」が一番危ない
操作したのに凍る。これが起こります。
原因の多くは、水抜き栓が中途半端な位置で止まっていることです。
札幌市水道局の点検項目にも、水抜き栓のハンドルやレバーが半開きになっていないかという確認事項があります。
「水抜き」と「通水」の途中で止まっていると、正常に水抜きできない場合があります。
- 手動式なら、ハンドルやレバーを指定された位置まで確実に操作する
- 電動式なら、ランプなどで水抜き状態になっていることを確認する
そして、どちらの場合も最後に蛇口から水が出なくなったことを目で確認してください。
「操作した」ではなく「水が抜けたことを確認する」までが水抜きです。
急いで家を出るときほど、ここが雑になります。帰省の朝は、特に気をつけてください。
【現場で感じる落とし穴】トイレの水抜きを忘れる人が多い
キッチンや洗面所は、毎日使うので意識します。
でも、私が現場でお客様と話していて、特に注意してほしいと感じるのがトイレです。
トイレには、タンクの中と、便器の中と、そこにつながる配管に水があります。ここが凍ると、やはり破裂します。

物件によっては、トイレ専用の水抜き栓が別に用意されていて、他の場所の水抜きとは別に操作が必要なケースがあります。
長期で家を空けるときは、この3つを確認してください。
- トイレの水抜き栓の位置を確認したか
- タンクの水は抜けているか
- 便器の水はどうするのか(物件によって指示が異なります)
トイレの扱いは物件差が大きい部分です。入居時に管理会社へ「トイレの水抜きはどうすればいいですか」と一度聞いておくのが確実です。
水抜きを忘れて水道管が破裂したらどうなる?
ここが、一番知りたい部分だと思います。正直にお伝えします。
修理費は自己負担が基本です
札幌市水道局は、凍結の修繕を行っていません。修理は指定給水装置工事事業者に依頼することになり、修繕費用は自己負担と案内されています。見積りや出張費が有料になる場合もあります。
冬の繁忙期は業者もいっぱいになるため、すぐに来てもらえるとは限りません。その間、水が使えない生活になります。
被害は自分の部屋だけで終わらないことがあります
集合住宅で怖いのは、階下への漏水です。
自分の部屋の家財だけでなく、下の階の天井・壁・家財にまで被害が及ぶと、金額の規模が変わります。
火災保険は「使えることがある」が正確です
ここは、断定して書いているサイトが多いのですが、実際はもう少し複雑です。
| 何の被害か | どう扱われるか |
|---|---|
| 凍結破裂による水濡れ被害 | 火災保険の補償対象になることがある |
| 水道管そのものの修理費 | 特約がないと対象外の場合がある |
| 階下の方への賠償 | 火災保険ではなく、個人賠償責任保険の領域 |
| 大家さんへの賠償(原状回復) | 借家人賠償責任保険の領域 |
| 経年劣化が原因の破損 | 一般に補償対象外となることが多い |
賃貸契約のときに加入する家財保険には、借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険が付帯していることが多いです。ただし、補償の範囲も、免責金額も、契約している商品によって違います。
「保険に入っているから大丈夫」ではなく、自分の保険証券に何が付いているかを確認しておく。これが正しい備え方です。
なお、借りている側には、部屋を通常どおりの注意をもって使う義務があります。水抜きを怠ったことが原因だと判断された場合に、どこまで責任を問われるかは、契約内容や個別の事情によって変わります。
つまり、こういうことです
破裂してから調べるのでは遅いです。 入居した最初の秋のうちに、水抜きの方法と保険の内容を確認しておいてください。
水道が凍結したときの対処法|熱湯は絶対にNG
「もう凍ってしまった」という場合です。
やってはいけないこと
熱湯を直接かける。直火を当てる。
札幌市水道局も、直接お湯をかけたり直火を当てたりすると、破裂や火災の危険があると注意を促しています。
急激に温めると管が耐えられません。凍結を直そうとして、かえって破裂させてしまうパターンです。
正しい方法
- 凍っている管や蛇口にタオルを巻き、その上からゆっくりお湯をかける
- 解氷パイプがある物件は、キャップを外して立ち上がり管にゆっくり注ぐ
- 室内を暖めて、自然に解けるのを待つ
それでも解けない場合や、水が漏れている場合は、自分でなんとかしようとせず、すぐ管理会社に連絡してください。
夜間や休日でも、管理会社には緊急連絡先が設定されていることがほとんどです。入居時の書類を確認しておいてください。
なお、札幌市は凍結修理を行う指定給水装置工事事業者の一覧を公開しています。賃貸の場合はまず管理会社に連絡するのが基本ですが、持ち家の方や連絡がつかない場合の参考になります。

【営業マンの本音】入居前に、この4つを聞いてください
ここからは、部屋を探している段階の方に向けた話です。
冒頭に書いたとおり、水抜きは聞かないと教えてもらえません。だからこそ、こちらから聞いてください。
契約前や鍵の引き渡しのときに、この4つを聞いておくだけで、冬の安心感がまったく違います。
① この部屋の水抜き栓はどこにありますか? ② 電動ですか、手動ですか? ③ トイレの水抜きは別に必要ですか? ④ 冬に家を空けるとき、他に注意することはありますか?
聞かれて嫌がる営業マンはいません。むしろ、答えられない営業マンかどうかが分かります。
そして、可能であれば引き渡しのときに、その場で一度やって見せてもらってください。説明を聞くのと、実際に操作するのとでは、理解度がまったく違います。
私は、道外から来られたお客様には、こちらからお伝えするようにしています。ただ、全員がそうとは限りません。だから、聞いてください。
札幌の賃貸「水抜き」よくある質問
Q. 毎日、寝る前に水抜きをしたほうがいいですか?
A. 毎日は必要ありません。日中に水を使っていれば、管の中の水は動いています。ただ、特に冷え込む予報が出ている日や、暖房を弱めて寝る日は、しておくと安心です。
Q. 水抜きは何月から必要ですか?
A. 札幌市水道局は12月から2月にかけて凍結事故が多発すると案内していますが、11月に冷え込む年もあります。気温がマイナス4℃を下回る予報が出たら意識してください。
Q. マンションの高層階でも水抜きは必要ですか?
A. 必要です。階数よりも、部屋の温度と配管の位置の影響が大きいです。特に北側の部屋や、外壁に面した水回りは注意してください。
Q. 水抜きをすると、水道代は変わりますか?
A. 変わりません。管の中に残っていた水が出るだけで、水道料金に影響するような量ではありません。
Q. 旅行中、暖房をつけっぱなしにすれば水抜きは不要ですか?
A. 暖房が効いていれば凍結リスクは下がりますが、停電や暖房の停止が起きる可能性があります。長期で家を空けるなら、暖房の有無にかかわらず水抜きをしてください。
Q. 水抜き栓が見つかりません。どうすればいいですか?
A. 管理会社に連絡してください。部屋の外やメーターボックスの中にあるケースもあります。冬になる前に確認しておきましょう。
Q. 洗濯機の水栓も閉めるべきですか?
A. 水栓やホースの中に水が残る場所なので、長期で家を空けるときは扱いを確認しておくと安心です。設備によって手順が異なるため、管理会社や取扱説明書で確認してください。

まとめ|札幌の賃貸で水抜きを覚えておくべき理由
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 水抜きとは | 水道管の中の水を抜いて、凍結・破裂を防ぐ作業 |
| 誰が教えてくれる? | 聞かないと教えてもらえないのが実情 |
| 気温の目安 | 外気温マイナス4℃以下で凍結のおそれ(札幌市水道局) |
| 多発する時期 | 12月〜2月 |
| 一番危ない場面 | 暖房を切って、長期間家を空けるとき |
| 水抜き栓の場所 | 電動スイッチ/トイレ/部屋の外の3パターンが多い |
| 方式 | 札幌の賃貸では手動タイプを見ることが多い |
| 忘れがちな場所 | トイレ |
| 操作のコツ | 栓の操作+蛇口を開ける+水が止まったことを確認まででワンセット |
| ありがちな失敗 | 水抜き栓が半開きで止まっている |
| 凍ったとき | 熱湯・直火は厳禁。タオル越しにお湯 |
| 破裂したら | 修理費は自己負担が基本。保険は契約内容次第 |
| 入居時にやること | 水抜き栓の場所を確認し、一度やって見せてもらう |
北海道の冬は、知らないだけで損をすることが多い季節です。
水抜きは、そのなかでも一番簡単に防げて、一番被害が大きいもののひとつです。
一度覚えてしまえば、あとは毎年同じことをするだけです。この秋のうちに、自分の部屋の水抜き栓の場所だけでも確認しておいてください。
北海道の冬について、もっと知りたい方へ
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参考

